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親の焦る気持ちが子供の負担になってはよくありません。まず体をしっかりさせねばと、そのことを祈っていました。小学部に上がっても付き添いは続きました。四年のとき、東邦大学の先生が心電図をとりにきたときに異常がみつかりました。大橋病院に二週間入院し体全体の検査をしました。その結果、世界で二十七例しかない病気だと言われました。
いつどこで心臓マヒを起こすかわからないので、いつも付いていた方がいいと言われ、心配で本当に生きた心地がしませんでした。「どうして私たちだけが不幸なのか」と神さまを恨みましたが、どんなに心配しても、「なるようにしかならないのだ」と覚悟をしていました。
勉強が遅れるのは病気のためと思いますが、本人は何事にも興味を示して怖いもの知らずでした。付き添いもスクールバスの所まで送って行き、帰るころ迎えに行き、少しずつ慣らして一人で通学できるようになりました。家で用事をしていても電話が鳴ると、「何かあったのでは」とドキリとしました。命の縮まる思いをしたものです。
ある日、自分のスナップ写真を見てあ然としました。背をかがめて、不幸を一人で背負いこんでいるような姿です。「これでは明るい将来はこない。背を伸ばしてくよくよしないで、前向きに生きねば」と一念発起しました。
中学部も足立でした。いろいろありましたが卒業し、高等部は綾瀬だったので駅にも近く安心でした。普通科には入れず、通級で自分なりに勉強していました。体も丈夫になってきて生活学習が主でした。
料理実習など率先してやり、家に帰ってもよく作っていました。先生にも恵まれて作業実習

 

 

 

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